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インタビュー

“金物のまち三木で包丁職人から習う鍛冶屋体験 ”

田中一之刃物製作所

“金物のまち三木で包丁職人から習う鍛冶屋体験 ”

Q1.なぜフィールドパビリオンに参画したのですか?

“刃物で三木に来てもらう”ための一歩

 最初は正直、「フィールドパビリオンって何?」って感じでした。三木市の方から声をかけてもらって、万博もまだ“やるらしいで”くらいの時期。けれど、僕らは三木で鍛冶屋を続けてきたし、この仕事をもっと知ってもらいたい気持ちはずっとあったんです。三木って、外国の人がわざわざ来る場所ではない。でも、刃物がきっかけで「年間1人でも来てくれたら嬉しい」。そんな思いで協力を決めました。後継者不足の流れもあるので、PRが少しでも次につながったら、という期待もありました。

Q2.参画前に期待していたこと、参画して感じたギャップは?

手間は増えた。でも想像以上に広がった

 参加前は、見学に来てもらうのは「今までの延長」くらいの感覚でした。ところが、参加してみると想像以上に波及しました。県の方に覚えてもらえたり、対談の場に呼んでもらえたり、結果的に万博会場に包丁を置いてもらえる話までつながった。これは普通にやっていたら起きなかったと思います。一方で、会議や資料提出など“面倒くさいこと”も多くて、最初は「知らんがな」と思いながらやってました(笑)。ただ、あれを積み上げた先に結果が出るんだな、と実感しました。

Q3.活動を進める中で苦労したことは?

本業との両立と、周囲の理解づくり

 苦労は、周りの理解ですね。見学対応は本業じゃないので、作業を止めないといけないし、「仕事できへんやん」と言われることもあります。でも僕は、ここで買わなくても、帰国してから絶対に思い出して買ってくれると信じています。あと海外の方はカード文化なので、カード決済を入れたら高額でも買ってくれるケースが出てきた。そういう環境整備も必要でした。見学や取材の連絡は直接ではなく、旅行会社や調整役を通してもらい、時間帯・人数・内容を事前に確定してから受ける形にして、時間管理を行っています。

Q4.取り組んで得られた効果や学びは?

“すごさ”より“伝わりやすさ”を学んだ

 一番大きい学びは、「伝え方」です。自分では伝わると思っていた言葉が伝わらない瞬間があったり、通訳を介するとさらに難しくなったり。だから、専門的な話を長くするより、素人にもスッと入る言い方を意識するようになりました。国によって反応も違って、ヨーロッパの方は歴史の話が刺さったり、アメリカの方は派手さに反応したり。そういう“空気”を見ながら、楽しんで帰ってもらう工夫が増えました。結果として取引や認知にもつながり、プラスが積み上がっている感覚があります。

Q5. 今後の展望や目標は?

挑戦を続けて、次の担い手につなげたい

 基本は、今のやり方を守りながら続けること。ただそれだけじゃなく、面白い挑戦も続けたいです。以前、あえて“今までにない包丁”を本気の技術で作って発信したら、プレスが食いついてSNSで広がり、取材や仲間づくりにもつながりました。ああいう成功例が、若い鍛冶屋の刺激になってくれたら嬉しい。実際、テレビを見て「包丁を作りたい」と県外から来た若い子もいます。だから、三木の鍛冶の面白さが広がって、町が盛り上がり、結果的に兵庫が元気になれば一番いい。そんな目線で動いていきたいです。

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