豊岡市の地場産業と伝統工芸体験①〜過去から現在そして未来へと繋がる豊岡(の伝統)〜
「豊岡鞄」の技術を活かした 鞄・革小物製作体験事業
「豊岡鞄」の技術を活かした 鞄・革小物製作体験事業
皆さんは「豊岡鞄」をご存知でしょうか?
兵庫県北部に位置する豊岡市は、城崎温泉やコウノトリが有名ですが、日本有数のかばんの産地でもあり、市内にあるかばんのエキスパートを養成する専門校には全国からかばん作りを学びに生徒が集まる、かばんの町でもあります。この豊岡で生産され、厳しい審査に合格した製品のみが「豊岡鞄」として認定されるんです。
今回は、かばん作り体験を中心に、豊岡の伝統工芸に触れてきました。
カバンストリートに佇むおしゃれなかばん屋さん
豊岡駅から13分歩いたところにある「Toyooka KABAN Artisan Avenue」にお邪魔しました。
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たくさんのかばんに囲まれた店内は、落ち着いた雰囲気が漂い、どこか安心できる場所です。
ここでは、革小物やミニバッグ作りの体験をしました。ミニバッグのほかにも、ペンケースやメガネケースなどが揃っています。今回は、ミニボストン、ミニリュック、ミニショルダーの3点セット、カードケース、スマホショルダーの3つのコースを体験させていただきました!
(※製作物や作業内容は一部変更となっております。詳しくは施設ページでご確認ください。)
コースが決まれば、まずは革選びから始まります。
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革の色、質感、厚さなど、一枚一枚が異なり、選ぶのが本当に大変でした。特に、私が作らせていただいたミニカバン3点セットでは、紺色や茶色などのシックな色から、ピンクや水色などのパステルカラーまで豊富な種類があり、非常に悩みました!
革が決まれば、いよいよ制作開始です。
スマホショルダーとカードケース組は、まず革の断面を整えるコバ処理から始めます。繊細な作業で難しそうに見えましたが、2人とも道具を上手に使いこなしていました。
そして、全員で共通して行ったのが金具の取り付けです。しっかりと固定するためには、かなりの力が必要でした!
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革と革を金具で接続して立体的に組み立てていくと…
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一足先にミニバック3点セットが完成しました!
スマホショルダーはミシンで縫う作業があり、難易度が高そうでしたが、とても上手にミシンを扱っていて、見ていて魅力的な作業でした。
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そして完成したものがこちら!
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革の質感が良く、いつまでも触っていたいと思うお気に入りのアイテムが完成しました。色味にも個性が出ており、自分で作ったこともあって、すぐに愛着が湧きました。これからも長く使い続けたいと、3人で話しました。
その後、こちらの建物の3階にある「Toyooka KABAN Artisan School」を見学させていただきました。ここでは、1年間でかばんを一から作れる職人を育成しているそうです。実際に、一人一台のミシンがあり、入学してわずか4ヶ月で自ら図面を作成し、型紙を作っている生徒さんがたくさんいて、驚くことばかりでした。
生徒さんたちは、東京や岡山、福岡、鹿児島など、全国各地から豊岡にかばん作りを学びに来ているそうです。「ものづくりがしたい」という情熱や、「地元を離れて新しい環境で挑戦したい」という思いから豊岡に来たと聞き、彼らの強い意志に深く感銘を受けました。
過去の生徒さんたちの完成度の高い作品を見せていただいたこともあり、ものづくりに対する情熱と実践的なカリキュラムが素晴らしい職人を生み出しているのだと実感しました。
午後からは城崎に移動しました。
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城崎温泉駅から徒歩3分の場所にある「おけしょう鮮魚」さん。1階は老舗のお魚屋さんで、2階では食事が楽しめる「海中苑」でお昼をいただくことにしました。
お魚を使ったさまざまなメニューがありましたが、今回はお刺身御膳、海鮮丼御膳、そして海鮮丼 舟をいただきました。どのメニューも海鮮の見た目がとても鮮やかで、新鮮な魚がたっぷりと盛り付けられています。
実際に食べてみると、魚の旨みが凝縮され、口の中に広がる風味がたまりません。適度な酸味の酢飯と絶妙に合わさり、至福の味わいでした。天ぷらやお味噌汁もついているため、食べ終わった後の満足感は抜群です。城崎温泉を訪れた際には、ぜひ一度味わってみてください!
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お腹を満たしたら…
城崎温泉駅から徒歩9分、麦わら細工伝承館にお邪魔しました。
ここは、兵庫県伝統的工芸品であり豊岡市無形文化財でもある城崎麦わら細工を、江戸から昭和にかけての約200点もの作品を観覧できます。
麦わら細工の特徴である麦のツヤと滑らかさは何年経っても残り続けるのだと実感しました。
ここでは麦わら細工の体験をすることもできます。
今回は、こまとキーホルダーを作ることにしました。
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パーツが入った袋を開けると、キーホルダーは特にパーツが細かい!
この細かいパーツを一つ一つ貼り付けていきます。
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私はこまを選んだのですが、中心に向かって対称に貼るのが難しかったです。
麦わら細工は手触りがよく、思わずずっと触っていたくなります。
パーツを全て貼り、ハンコを押したら、旅の良い思い出になるものを作ることができました。
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その後、城崎温泉駅から徒歩15分、城崎ジェラートカフェChayaさんにお邪魔しました。
ここではジェラートを食べながら足湯を体験できたり、温泉たまごを自分たちで作ることができます。
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このように卵を購入し、自分たちの手で源泉につけます。
そして待つこと11分…
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可愛い個性的な温泉たまごが出来上がりました!
卵の殻に顔を描くのが流行っているそうで、実際に私たちも描いてみました。
顔を描くと思ったよりも愛着が湧いて、割るのが心苦しくなりました。
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このように専用の器具で、上の重りを弾いて殻を割っていきます。少しコツが必要ですが、綺麗に殻を割ることが出来ました!
一緒に渡された木のスプーンで、お好みで塩をかけて食べます。
やはり自分たちで作った温泉たまごは格別でした!
中のトロトロ具合もバッチリで、もう1個もう1個とまた食べたくなるお味でした。
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今回の私たちの旅はここまでです。
かばん作り体験をはじめ、豊岡の昔ながらの伝統工芸に触れてきました。ここで紹介したもの以外にも、豊岡には様々な伝統工芸が存在しています。
また、それぞれの分野の職人たちが現代まで技術を受け継いできたからこそ、今も私たちはその成果を体験出来ています。だからこそ、私たちもこれらの技術を後世に伝え、長く残していく必要があると強く感じました。
豊岡の長い歴史に思いを馳せつつ、時には地元の食にも触れ、とても充実した1日を過ごしました。たくさんの思い出の品も手に入れ、それを見るたびに、また訪れたいという気持ちが湧いてきます。
今回の旅を通じて、兵庫北部の豊岡にはまだまだ知らない魅力がたくさんあることを実感しました。何度訪れても楽しめる豊岡に、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
取材者:芸術文化観光専門職大学 3年生 堀越 夏葵