城崎温泉の昔を覗いてみませんか? 〜街歩きがもっと楽しくなる「古地図でめぐる!城崎温泉ガイドツアー」〜
選べる新旧 城崎温泉町めぐり (音声ガイダンスでめぐる城崎温泉&古地図でめぐる城崎湯島)
選べる新旧 城崎温泉町めぐり (音声ガイダンスでめぐる城崎温泉&古地図でめぐる城崎湯島)
北但大震災(ほくたんだいしんさい)は、1925年(大正14年)5月23日に発生した地震で、城崎温泉に甚大な被害をもたらしました。
地震の規模はマグニチュード6.8と推定され、震源地は兵庫県北部の但馬地方で、特に城崎町が大きな被害を受けました。
城崎温泉は全国的にも有名な温泉地で、震災当日、多くの観光客や湯治客で賑わっていました。しかし、午前11時過ぎに突如大地が揺れ始め、建物が次々と倒壊しました。当時の城崎町には、温泉街特有の木造建築が多く、揺れに耐えられず崩れ落ちたのです。
さらに、地震による火災が発生し、逃げる間もなく燃え広がり、町全体が火の海となりました。この地震で、城崎温泉はほぼ全滅状態となり、約800戸の家屋が全焼・全壊しました。死者数は約420名と記録されており、多くの尊い命が奪われた悲劇の震災となりました。
温泉街の象徴である浴場も、多くが破壊され、湯治場としての機能も失われました。
引用:城崎観光協会HP‐「城崎全町崩壊からの復活」より
震災後、町民や外部からの支援が集まり、復興への動きが始まりました。城崎温泉は観光業が主要産業であり、その復興は地域全体の経済再生にも直結していたため、復旧作業は急務でした。
地元の人々や有志の手で瓦礫の片付けが進められ、新しい城崎温泉の再建が模索されました。復興の過程で、城崎温泉は新たな町並みを整備し、耐震性を考慮した建物が建てられました。また、観光客を再び呼び戻すために、温泉施設や宿泊施設の再建に力が注がれました。
昭和初期には、町全体が新しい姿で再生し、城崎温泉は再び賑わいを取り戻すこととなりました。この北但震災の経験は、城崎温泉の歴史に深く刻まれています。
そんな歴史を持つ城崎温泉ですが、今回は北但大震災が起きた1925年より遥かに遡った1883年(明治16年)を体験してきました!
今回案内をしてくださったのは、ガイドの松井敬代さんです。
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まずは、『古地図でめぐるきのさきゆしま』を片手に城崎温泉観光センターからスタート。
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かつて城崎の入口でありシンボルとされていた今津水明楼跡を訪れました。
日常に溶け込んでいる景色の中にもポツンと、かつての時代を忘れないでほしいと言っているかのようにか細くも力強く残されていました。
またすぐ横を流れる円山川は、江戸時代を代表する儒学者であり文人の柴野栗山がその景色に惚れ、円山川に映る月が美しいと詠まれるほどの絶景だったとされています。
続いて、線路に沿って大谿川(おおたにがわ)へ向かいました。現在城崎温泉の人気写真スポットとなっている大谿川には多くの歴史や震災復興の跡が残されています。その一つとされているのが、川端に積まれている石です。
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皆様は、豊岡と城崎温泉の間にある、山陰海岸国立公園にもなっている玄武洞をご存知でしょうか。
約160万年前に火山活動により誕生したパワースポットです。
玄武洞は、積み上げられた石が地震により崩れてしまうなど、城崎温泉と同様に大きな被害に遭いました。
崩れ落ちた石をどうにかして使えないかという事で完成したのが今の大谷川の姿です。
このように、フォトスポットの中にも当時を考えさせられる痕が残されています。
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柳通りを抜け、ツアーは後半へ。
一の湯の目の前に位置する王橋の直ぐ側には、『玉橋飲湯場』があり、城崎温泉の温泉水が飲めるスポットがあります。
城崎温泉の効果・効能はそれぞれの外湯で異なりますが、怪我や皮膚、胃のトラブルの改善に効果的であるとされています。
また泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉であることから、少ししょっぱい味がします。訪れた際には是非一度ご賞味ください!
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湯の里通りでは、数多くの登録有形文化財が立ち並び、1番人気の御所の湯や初めて温泉が掘られた場所とされている曼荼羅湯(諸説あり)、志賀直哉が十数回も宿泊した三木屋など城崎の歴史を語るのに欠かせない魅力が詰まった賑やかなメイン通りとなっています。
ただ!このツアーに参加しないとどんな魅力があるのか、かつてのメイン通りはどんな所だったのか知り得なかったと思います。
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そして、湯の里通りを抜けると最後は温泉寺の境内へ。
ロープウェイの乗り場すぐ近くにある、薬師堂では、城崎の湯治がどれほどの人々の役に立ったのかが分かる施設となっていました。怪我や病気を治すために訪れた人は、まず薬師寺でお参りをしてから、温泉に浸かったそうです。
治った事を神様に報告するために傷が癒えたら再礼しに来るという文化がありました。そのため、この薬師堂では、足の怪我でうまく歩けなかった人が使用していた杖や、手に履く下駄などが奉納されています。
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今回のツアーはここまで!
ここに書いてある事はほんの一部です。とても楽しく濃い90分でした。城崎の歴史を知らずにそぞろ歩きするのは勿体ない!ぜひ皆様も一度ツアーに参加して、城崎の昔を体感・体験してみませんか?
今回私達は、メイン通りから1本外れた場所にひっそりと佇むカフェ、『OFF KINOSAKI』にお邪魔してきました。
私達が注文した2品はこれ!
「挽きたて但馬牛100%バーガー」
外はサクサク、中はふわふわのバンズに挟まれたパティは、ナイフを入れるとたっぷりと溢れ出る肉汁で旨味たっぷりでした。
「名物!但馬牛のステークフリット」
但馬地方は蟹だけでなく、但馬牛という牛肉も人気な特産品です。今回はそんなブランド牛のステーキを頂きました。
しつこすぎない牛肉の旨味がこれまでに味わったことのないほどの絶品でした!
更に、お皿の手前にある岩塩をつけて食べると、更に甘みが増し美味しかったです!
観光地と言ったらお土産選びも魅力の一つですよね!
城崎温泉には、現在41店舗(参考:きのさき温泉観光協会公式サイト)のお土産屋さんがあります。
数多くあるお土産屋さんの中から2店舗お邪魔してきました
最初に訪れたのは、「みなとや」さんです。みなとやさんは老舗のお店として人気があります。
和菓子が多く販売されており、全国菓子博で金賞を受賞した商品やJALのファーストクラスで提供されるお菓子など、日本を代表する商品が多く並んでいます。
ちなみに私のイチオシはいちご大福ですが、このいちご大福は、11月上旬から5月中旬までの季節限定販売となっているので、残念ながら夏期間に食べることは出来ません。冬にお越しの際は是非ご賞味ください。(販売期間は変動がある場合がありますので事前にご確認ください!)
続いて訪れたのは、『私たちが選んだ10品のお土産を、集めてみました』という文字が目印の「城崎温泉旅館 赤石屋」のお土産屋さんです。
こちらのお店は、今年7月29日にオープンしたばかりのお店でとてもきれいでした!
旅館の土産屋さんではありますが、入口が別れているため、宿泊していないお客様でも気軽に立ち寄ることができます。
お土産も無事購入したあとは、ひと休み。
そんな時に、ぜひ立ち寄りたいのが『短編喫茶 Un』。
文学とコーヒーが絶妙にマッチしたこのカフェは、まるで本の世界に迷い込んだような雰囲気があります。
特におすすめは、ふわふわ生地にたっぷりのクリームがサンドされた「生どら焼」で、口の中でとろける美味しさがあります。
オリジナルドリンクも充実しており、地元の素材を使ったユニークなフレーバーが楽しめます。
心温まる一杯と共に、物語に包まれた贅沢なひとときをお楽しみください。城崎の温泉街で、あなただけの短編小説を紡いでみませんか?
城崎温泉には全部で5つの足湯があります。
1つ目は、『さとの湯前 足湯』。
駅から近いこともあり、電車の待ち時間に気軽に利用できる便利な立地です。
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2つ目は、『柳湯 足湯』。
柳湯の足湯は2ヵ所に分かれていて、ひとつは柳通りに面した入口すぐ横。もうひとつは、柳湯入口の右にある道を少し進んだ路地の奥。
小さな足湯となっているため、知る人ぞ知る穴場スポットの一つです。
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3つ目は、『一の湯 足湯』。
一の湯の横に位置し、足湯と同時に手湯も楽しめる場所です。
また、足湯の直ぐ側にある『海内第一泉』という石碑は、江戸時代の名医・香川修徳が『最上至極天下第一湯とする』と泉質を称賛したことに由来して建碑されました。
4つ目は、『城崎文芸館 足湯』。
柳通りの一本奥に入った裏通りで静かな場所にあります。賑やかなメイン通りとはまた一風変わった、落ち着いた広々と落ち着いた空間が広がっています。こちらも一の湯と同様、手湯が楽しめるスポットです。
5つ目は、『薬師公園 足湯』。
温泉寺の境内にある足湯で、源泉から直接引いた温泉を体験できるのが特徴です。またすぐ隣では、温泉卵作り体験もできます!
それぞれに魅力がある足湯ですが、今回は最もアクセスの良い駅から出てすぐ右手側にある『さとの湯前 足湯』に浸かってきました。
疲れた足を癒してくれるような丁度いい温度の湯加減で、時間を忘れてついついじっくり浸かってしまいました。
このように、城崎温泉にはまだまだ多くの魅力があります!
是非ツアーに参加してあなたしか知らない城崎温泉の魅力を発見してみてください!
取材者:芸術文化観光専門職大学 4年生 I.C.