世界最長級の吊橋
神戸と淡路島をつなぐ明石海峡大橋は、1998年の完成当時、最先端の技術を結集した世界最長(支間長1,991m)の吊橋として、およそ10年の歳月をかけて整備されました。工事も中盤を過ぎた1995年には阪神・淡路大震災に見舞われました。橋に深刻な影響はなかったものの、地盤が動いたために橋の長さが1m伸びることになりました。2022年に世界最長の座は明け渡しましたが、「パールブリッジ」の愛称のとおり美しい日本最長の吊橋です。
淡路島の暮らしを支える
本州と四国を道路と鉄道でつなぐプロジェクトの一環で建設された明石海峡大橋ですが、その成果は天候に左右される連絡船からの安定的な道路交通への転換だけではありません。温暖少雨で大きな川もない淡路島は、慢性的な水不足に悩まされてきました。夏場には断水もしばしばあり、島内には多くのため池が築かれていました。明石海峡大橋の開通に伴って水道管や大容量通信用ケーブルも整備されたことで、島の生活インフラ環境は大きく改善されました。
最高技術の吊橋を200年維持するために
明石海峡大橋は設備面でも機能面でも非常に重要な施設なので、200年以上の長期にわたって安全に利用されることを目指した管理技術が導入されています。吊橋の生命線であるメインケーブルの腐食を防ぐために、ケーブル内部に海上の潮風をろ過して得た乾燥空気を強制的に送り込んでケーブル内の湿度を一定に保っています。これは、メンテナンスコストも考慮した画期的なケーブル防食技術です。