日本の最大産地 淡路島のお線香
日本書紀によると、約1400年前に淡路島に香木が漂着したという、日本最初の香木伝承地に関する記録があります。そして、江戸末期の1850年頃、地域の新たな生業を求め、泉州堺の製造技術を学び、江井浦の線香づくりが始まります。昭和中期の1960年頃には、商店の店先や風呂屋の番台など至る所で、内職として線香を結束する姿がありました。近隣の漁師や農家、子供たちも含め地域の人々に支えられ、国内最大産地に発展しました。
多様な線香づくりへのチャレンジ
先人たちが知恵と創意工夫を積み重ね、脈々と受け継がれてきた線香産業。核家族化の進展など移りゆく時代の中で、お仏壇のない家が増え、仏事としての線香の需要は減少傾向にあります。新しい世代の担い手は、市場のニーズに合わせて新たに香りとしての線香の創作に日々挑戦しています。淡路島の香りは海外でも高く評価され、お香は新しいルームフレグランスとして注目を集めています。
気候を逆手にとった線香産業の発展
江井浦は海上輸送の要衝として廻船業で栄える港でしたが、淡路島西岸の冬は季節風の影響で波は高く、船乗りたちには恵まれない気候でした。しかしながら、1年を通して風が吹き、温暖で雨が少なく、0度以下の日がほとんどないこの地域の気候は、線香製造に欠かせない「乾燥工程」に最適でした。淡路島に線香が根付いてから今日まで、日々創意工夫を重ね、全国に良い香りを届けています。