日本料理を支える淡口醤油発祥の地
日本料理には欠かせない、食材の色や風味を活かし料理を引き立たせることができる淡口醤油は、江戸時代に龍野で生まれました。龍野を流れる揖保川の伏流水と、付近の播磨平野から産出される良質の大豆、小麦、米、そして赤穂の塩と、主原料が近隣で容易に入手できたことが、淡口醤油誕生の背景にあります。また、京都・大阪などの大きな消費地が近くにあったことも龍野で醤油づくりが栄えた理由です。
残渣も無駄なく有効利用
醤油の製造工程で発生する残渣は、無駄なく有効活用されています。もろみから醤油を搾った後に残る搾りかす(醤油かす)は、大豆や小麦の栄養分が含まれているので、家畜の飼料や作物の肥料として再利用されます。また、もろみから醤油を搾りだした時に出る大豆に含まれていた油は、燃料として利用されます。資源を無駄なく有効活用する発酵食品は、まさに資源に乏しい日本ならではの食文化と呼ぶにふさわしい食品です。
決め手は清流揖保川の伏流水
淡口醤油は醤油の一般的な原料である小麦・大豆・塩に、米を蒸した甘酒と鉄分の少ない軟水を加えることで製造できます。龍野の中心を流れる揖保川の伏流水が、全国まれにみる鉄分の少ない軟水であったことが、この地で淡口醤油が誕生するうえで大きな役割を果たしたのです。