全く異なる「2つの海」があります
兵庫は細長い日本列島を縦断する唯一の県です。なので北は日本海、南は瀬戸内海と、気候も生態系も全く異なる2つの海域に面しています。そこでは、それぞれに固有の海の味覚があり、漁法もそれぞれです。海洋アクティビティについてもジオパークの景観を楽しむ日本海と、穏やかな内海でクルーズやスポーツが盛んな瀬戸内海と、2つの海の特徴を反映したものとなっています。
「美しい海」から「豊かな海」へ
ユネスコ世界ジオパークに認定された美しい景色の日本海沿岸に対して、瀬戸内海沿岸では日本経済の急速な発展と引き換えに、産業排水や生活排水が海に流れ込み、深刻な水質汚染が発生しました。30年以上に及ぶ沿岸ぐるみで海の再生活動の結果、美しい瀬戸内海が再生されました。しかし過度な水質浄化によって海が栄養塩不足となり、生物にとっては生息しにくい海となってしまいました。現在は、「豊かな海」の再生を目指して、海域の栄養濃度の管理に向けた取り組みが始まっています。
関西屈指の透明度を誇る「竹野浜」
日本海に面した竹野浜は、日本有数の透明度を誇る海岸に、約1kmの白砂の砂浜と情緒ある漁村の町並みが連なっています。水質評価は毎年最高水準で、「日本の渚百選」にも選ばれています。海水浴やシュノーケリング、カヌー、ダイビングなどのアクティビティが楽しめます。また、浜の周辺にはユネスコ世界ジオパークに認定されている圧倒的な迫力の岩肌や岩礁、洞門が連なる海岸が東西にひろがっています。
万葉の和歌に詠まれた「慶野松原」
淡路島の西海岸では美しい夕日を眺めることができます。なかでも「慶野松原(けいのまつばら)」は約2.5kmに渡って約5万本の黒松が広がる白砂青松の景勝地です。ここでは、家庭でのガス・電気の普及によって誰も必要としなくなった落ち松葉や海岸に打ち寄せられる海洋プラスチックゴミを、環境保全や景観維持のために地域団体や子ども達が清掃する活動を行っています。この活動には、一般旅行者も参加して活動の意義を共有することができます。