ひょうごを学ぶ!

日本一や世界一がいっぱい

日本酒、灘五郷

日本酒、灘五郷
日本酒のはじまり
日本酒のはじまり

 『播磨国風土記』によると、宍粟市の庭田神社で『米のカビ(麹菌)を酒造りに使用し、神様に献上した』とあり、これが酒に関して現存する最古の記録であるといわれています。
時が流れ江戸時代、誤って未精製の日本酒の樽に灰が落ちたところ、澄んだ酒ができたことから、伊丹市は清酒発祥の地といわれています。この澄み酒は「伊丹諸白」と呼ばれ、江戸で人気を博しました。「伊丹から始まり灘地方に広がった日本酒にまつわる歴史文化の物語」は、2020年6月に日本遺産に認定されました。

日本酒生産量No1
日本酒生産量No1

 兵庫の日本酒生産量は全国トップシェアの約30%です。兵庫を日本酒生産の一大産地に押し上げたのが、神戸市東部から西宮市にかけて東西12kmのうちに今なお26の酒蔵が集積する「灘五郷」の成立です。かつては江戸の酒の半分程度が灘から仕入れた酒であったといわれています。現在でも、日本で飲まれるお酒の4本に1本は灘五郷で造られたお酒です。

ところ変われば酒造りも変わる
ところ変われば酒造りも変わる

 日本一の酒どころ「灘五郷」では、従来の技法を尊重しつつ、大量生産を可能とする機械化も並行して進んでいます。一方で、県下各地の40余の蔵では、その地域の風土や暮らしに密着した酒造りが行われています。地域の気候に適した品種の原料米、地域ならではの水によって醸された酒が、その地域ならではの暮らしのシーンを演出しているのです。

残渣も無駄なく有効利用
残渣も無駄なく有効利用

 日本酒の醸造各工程で発生する様々な残渣は、すべて無駄なく有効活用されています。酒米を脱穀した際に発生する籾殻は、翌年の栽培のための土壌改良剤として使用されます。お酒の味を調えるための精米工程で発生する米粉は、パンやせんべいなどの菓子類の原料に使用されます。完成段階で日本酒から分離した酒粕は、粕汁や甘酒などの素材に使用されます。

灘の酒の口当たりの秘密
灘の酒の口当たりの秘密

 宮水に代表される、この地域の地層を通って湧き出る地下水はリンやカルシウム、カリウムなどのミネラルを多く含む中硬水で、そのミネラルが麹菌や酵母の栄養分となって酵素の作用を促します。ミネラル豊富な水脈と酸素が豊富な水脈が混じり合って、灘の辛口の酒造りに最適な水が生成されています。宮水は、地下2~5m程度の浅い地下を流れているため、採取地の西宮市では「宮水保全条例」を制定して、地権者や事業者の協力のもと、この「奇跡の水」の保全に取組んでいます。


関連するプログラム